Shooting an Elephant

George Orwell, “Modern Classics Shooting an Elephant“, Penguin Modern Classics ,2009

高橋さんが少し前にジョージ・オーウェルの「1984」を紹介されていましたが、そういえば高校の英語の教科書でこの作家の短いエッセイ ” Shooting an Elephant” を読んだことを思い出し、ネットで探して読んでみました(原文がただで公開されています)。お話自体はそう複雑ではないので、英語とはいえ辞書を引き引き最後まで読んでみました。

ビルマは1935年にイギリスのインド領の一部として併合されますが、オーウェルはこの頃このビルマで地方の警官をやっていて、その時直面した小さな事件をこのエッセイで語っています。ある日、象が発情して村で暴れているという通報を受けます。彼がライフルを持って現場に駆けつけると象は正気に戻り穏やかな状態で見つかります。やれやれ、と思って振り返ると2千人からの群衆がいて象が撃たれるのを今か今かと待っているのに気づくのでした…

と書いていくと長くなるのではしょりますが、結局オーウェル巡査は様々に錯綜した群衆心理に巻き込まれて結果的にその無害な象を自分の意思に反して撃ってしまうのです。その辺の細かい事情はぜひ原作を読んでください。(和訳もあります:「象を撃つ―オーウェル評論集〈1〉 (平凡社ライブラリー)1995/5」)

ここでオーウェルが暗に言いたかったことは、人はいかにして戦争に駆り立てられるかということではないかと思います。戦争の当事者同士は本当に戦争を起こすつもりはなくとも周りの状況が当事者を戦争に向かわせるという、そのメカニズムにオーウェルは自分の体験を通して気づいたのではないでしょうか。

さて、そうなるとこれは他人の話ではなくなります。現に北朝鮮はそういう状態にあるのではないでしょうか。今なおこのエッセイは色褪せずに警告を発しているのかもしれませんね。

(再掲:「放送大学の本棚」投稿記事)

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