カテゴリー

「日の名残り」カズオ・イシグロ

語り手は執事。執事らしく抑制された口調で過去を語る。それは主にまだ貴族階級が国際政治に関わっていた最後の時代のこと。使えていた主人のこと、共に働いていた女中頭とのこと、執事の持つべき「気品」のこと。休暇の旅のなかでそういう事どもを回想していく。そこには自らのロマンスの香りさえ漂ってくる。節度ある執事として振る舞って来たが故にそれらはロマンスになり得なかった。執事は語りの中でそれをよしとしようとしている。しかし言外には幾ばくかの、いや大層な悔恨が表れているようにもみえる。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です